理事長所信

2014vi

はじめに

私は、北九州青年会議所(以下、北九州JC)に入会しなければ、本気でこのまちのことを考えていなかったかも知れません。北九州JCに出会えたことで、私の人生は確実に変わりました。青年会議所なくして今日の自分はありません。たくさんの人との出会いが私の価値観を変えていきました。毎年新たに出会うメンバーに加え、出向、クラブ活動、先輩方との出会い。同じ志を共有する仲間に巡りあう度にそれぞれ感動があります。目的達成に向かいJC運動に真剣に取り組むことで、友情を深め、利害を超えた信頼関係を築くことは、JC運動の醍醐味のひとつであるといえます。この出会いの数が多ければ多いほど、人間としても大きく成長していくものと確信いたします。そして、人間としての成長が未来の希望へとつながり、社会を変革する力にもなっていくのです。

青年会議所は、一貫して「明るい豊かな社会の実現」を理想とし、それを実現すべく運動を展開しています。同じ志をもったメンバーが40歳までという限られた時間の中で、毎年新しい英知を導入し、「個人の修練」「社会への奉仕」「世界との友情」というJCの三信条を基盤とした創始の精神を継承しながら、熱き想いと行動力で、常に時代の先端を切り拓くべく挑戦してきました。その運動に終わりはありません。
しかし、我々は、先人の功績に胡坐をかき、思考を停止させてはいないでしょうか。
それぞれの時代にはそれぞれ求められる背景があり、達成すべき目的も少しずつ変化しているはずです。
1953年に北九州JCがこのまちに誕生して以来、多くの先輩方が北九州の明るい豊かな未来のために、熱い想いをもって運動を展開されてきました。その歴史の中で築かれた信用の上に、私たちの運動が成り立っていることを忘れてはなりません。また、過去の努力に感謝し、過去に学び、先輩方が積み重ねてこられたその歴史、その想いを大切に受け継ぎながら、時代の変化に柔軟かつ迅速に対応できるよう、常に進化し続ける組織でなければなりません。様々なことが予想を超える速度で変わっていく時代。市民のニーズも地域のニーズも変化し、我々北九州JCも状況に応じて柔軟な姿勢で運動に取り組む必要があります。我々の行う運動は、次世代を意識し、将来へ向かっての新しい可能性を作り出していくものです。保守的になるのではなく、足元を固めた上で、次の世代への新たなるスタートを切らなければなりません。この青年会議所という舞台で、不連続の連続という永遠を駆け抜ける一瞬の私たちであるということを再認識し、「変えるべきもの」と「変えてはならないもの」を認識した上で、検証を重ねながら、新しい時代の北九州JCとしてのアイデンティティーを確立し、次世代に確かなバトンを渡していかなければならないのです。

心から誇りに思い、愛し続けられるまちにしよう

JC運動の原動力になっているのは、家族愛、郷土愛であると、私は思います。自分のまちを想い、愛し、誇りを持つことが必要です。私は、まちを想い、まちを愛する人々が多く集うまちは必ず活性化すると信じています。まずは、私たちが暮らすまちの現状やあるべき未来について、もっと関心を持つ事から始めましょう。
北九州には様々な素晴らしい文化や誇るべき地域資源があります。北九州のまちの魅力・価値を再認識し、それをもっと磨き上げていきたいと思います。このまちに存在するたくさんの魅力を磨き上げ、それを「地域のたから」へと昇華させ、全国へ、そして世界へ向けて発信することができれば人々はさらに北九州に集まります。そうすることで、市民の皆さまが、まちの魅力を実感するとともに、まちに自信と誇りを持つことに繋がると考えます。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決定しました。自国開催の決定は、普段、スポーツにあまり関心のない人々の胸をも躍らせ、多くの日本人を高揚させたのは間違いありません。スポーツには人々に元気や活力を与え、子どもたちの健全な成長に寄与し、そしてまちを元気にする力があります。また、ある調査によると、地域で開催されているスポーツイベントに参加している市民は、無作為に抽出された市民よりも、地域に対する思い入れや愛着が強いことが明らかにされています。2017年春には小倉駅北口に、日本プロサッカーリーグに所属するクラブチームであるギラヴァンツ北九州のホームスタジアムとしても利用される球技専用スタジアムがオープンの予定です。また、福岡ソフトバンクホークスの2軍3軍の本拠地球場の候補地として北九州市への誘致の意向が明らかにされました。 これらのスタジアムが北九州のまちづくりの中核となり、地域スポーツが市民生活に根付き、そしてスポーツ文化が形作られて行くかもしれません。スポーツとは地域に育まれ、地域の人々が楽しめる「財産」といえます。スポーツには「競う」「楽しむ」という要素に加えて、「する」「見る」という行為を通じて、地域に潤いと豊かさ、そして感動をもたらしてくれます。地域や世代を超え、スポーツを通して、まちづくりという視点でスポーツ文化を「地域のたから」としてこのまちに根付かせることが出来る可能性を探ります。

魅力あふれる人材になろう

青年会議所は市民の意識を変える団体です。我々JCメンバー自身が明るい豊かな社会の実現へ向かって邁進する青年であり、多くの人々の心を動かせる魅力、人間力をもった存在でなくてはなりません。そして、メンバー一人ひとりの魅力を向上させることが、その集合体としてのJCの魅力向上につながります。

JCは様々な個性を持ったメンバーが集い、互いに刺激し合いながら自分自身を磨くことのできる素晴らしい組織です。しかし、自らが行動しなければ何も変わりません。自分自身が積極的に運動に参画することで自ら何かを掴み取る所であり、何もせずに何かを与えてくれる所ではありません。一人ひとりが、志を高く持って様々な事を学び、経験を積み、自分づくりに励み、人間力を高めながら率先して地域貢献していくことが必要です。その姿から周りの人を感化し、JC運動に対する理解と賛同を得て、更に人から人へ伝播することで、市民を巻き込んだ運動へと大きく発展していくと考えます。JAYCEEとしての自覚、資質を向上させることに重点を置き、まちづくりをする上での土台となる部分をしっかりと構築していきたいと思います。互いに切磋琢磨し、刺激し合いながら、人間的魅力を兼ね備えたリーダーシップを身に付けてまいりましょう。

私たちが発信する運動に対して、このまちに暮らす人々からの共感と賛同がなければ、団体としての存在意義は薄れていくでしょう。北九州JCがこのまちにとって、市民にとって、メンバーにとって、魅力的な団体として、そして、真に必要とされる存在であり続けるように、また、私たちの運動を地域から更に深く支持してもらうためにも、我々の運動を効果的に情報発信してまいります。

市内の中学生を対象とした北九州ドリームサミット(KDS)事業は、今年で10周年を迎えます。この事業を通して、未来の北九州を担っていくであろう、多くの人材を育成してきました。自分たちの住むまちの事を真剣に考え、そしてまちのために何が出来るかを模索し自発的に行動できる人材を育成いたします。

魅力あふれる組織をつくろう

北九州JCの定款に定められた目的に「会員の連携と啓発に努めること」とあります。全会員が一堂に会し、自己研鑽や親睦を深める大きな役割を果たす場として例会があります。会員同士の懇親を深め、まちづくり・ひとづくりに対する想いを分かち合い、多くの人々へ発信する場として例会を積極的に活用することが大切です。例会は、私たちの運動の方向性を確認するとともに、JAYCEEとしての志と誇りを再認識できる絶好の機会です。この達成に向け、全メンバーが集う例会やそれぞれが所属する委員会などを積極的に活用してまいりましょう。

また、出向や各種大会への参加は、全国各地の同志との出会いを通じての自己成長や、JC運動の可能性を学べる機会であり、LOMとして運動を大きく展開していくのに必要な連携を図れる貴重な機会でもあります。積極的に参加し、そこで得たものを持ち帰り、このまちでの運動に繋げていきましょう。

まちづくりを真剣に考え、幅広いJC運動を展開していくためには広く会員を求め、より地域に密着した青年会議所の存在を心掛けていかなければなりません。会員数の減少は、JC運動の縮小に直結し、地域社会における影響度は確実に低下し、いずれは消滅してしまうことになるでしょう。会員拡大の意義・目的・必要性を常に全メンバーが意識し続けることが大切です。「明るい豊かな社会の実現」という目的の達成のためにはマンパワーも必要です。単に数の補充という意味での会員拡大ではなく、北九州JCの運動を共に推進していく志高い仲間を増やすための会員拡大を積極的に行ってまいります。

また、入会させて終わりではありません。新人会員を教育し、共に運動を推進してくれるJAYCEEに育てていくことが大切です。入会後のフォロー体制を構築していくことが新入会員の定着率を高め、退会率を改善することにもなると考えます。

相互理解を深める国際交流をしよう

北九州JCは、1970年に台北市國際青年商會(台湾)と1988年には仁川富平青年会議所(韓国)とそれぞれ姉妹JCとして締結し国際交流事業を継続してきました。本年はIFP児童交換事業の45周年の年であります。長年に渡り先輩方が築いてこられた友情を途切れさせることなく、お互いの国の歴史や文化を尊重し、相互理解を深め、しっかりと未来に向けた民間交流を行ってまいります。

国際交流において本当の信頼関係を築くためには、まずは私たち自身が日本人として自国の歴史や文化、伝統をきちんと理解し、自国についての確固たるものをもって交流することが大切です。そして、各国にはそれぞれ特色ある文化や伝統、価値観があるという認識をもち、それを尊重することで、相互理解を深めることが出来ます。国際交流の機会を積極的に活用し、世界の仲間たちと共通の体験を分かち合う中で、国際社会での日本のあるべき姿や国際貢献を学び、世界恒久平和の実現へとつながる国際交流を行います。

おわりに

我々は、世界情勢や社会環境の変化が著しく、地球温暖化等の地球環境に関する問題、開発途上国での人口増、先進国における少子高齢化の人口問題、エネルギー問題、年金問題、教育問題、安全保障問題等、様々な問題を抱えた社会に生きています。そんな社会の不安定さ、将来への不安を感じている方もいるでしょう。物質的には豊かであっても、何か心が満たされない時代、先行きの見えない混沌とした時代だからこそ、我々北九州JCが、勇気をもって挑戦していかなければなりません。我々は、未来を切り拓く、若い力の集まりです。必要なのは、不安感や悲観論ではなく、健全な危機感に裏付けられたチャレンジ精神です。我々メンバーの一人ひとりが地域のリーダーとなり、誇りと気概をもって、明るい豊かなまちづくりの原動力となるべくイノベーションを起こそうではありませんか。

~時代を切り拓くのは 我々青年の使命である~
今こそ前へ、新たなる一歩を踏み出しましょう。我々青年だから出来ること、JCにしかできないことを失敗や批判を恐れず、英知と勇気と情熱を結集し、自信と誇りを持って、よりよき明日を、未来を目指して、私たちの愛するまちのために挑戦し、明るい豊かな北九州を創造してまいりましょう。

新生北九州JC~温故知新、そしてイノベーション~

基本方針

1、心から誇りに思い、愛し続けられるまちにしよう
2、魅力あふれる人材になろう
3、魅力あふれる組織をつくろう
4、相互理解を深める国際交流をしよう