理事長所信

はじめに

18歳まで山口県の人口6000人にも満たない小さな田舎町で生まれ育ち、大学進学を控えたその日まで県外に出ることがなかった私にとって、政令指定都市『北九州』は眩いばかりに光輝き、そこに無限の可能性を感じずにはいられなかったことを鮮明に覚えている。
諸事情により大学を卒業することは叶わなかったが、あの日感じた北九州の可能性を信じ、ひたすら夢を追い続け、若さと勢いだけで起業した私であった。当時、本当の仲間を作る術も知らず、生き残り競争の激しい業界の中で一匹狼を気取っていた私に転機が訪れた。
2008年12月。青年会議所(以下、JC)という組織は、そんな私にも優しく手を指しのべてくれ、利害を超えた信頼関係に基づく『仲間の大切さ』という価値観を与えてくれた。多くの人とふれあい、様々な事業を経験していく中で人の意識は大きく変わる。そのことを誰よりも強く身をもって体験したのが私自身であった。「このまちのために」と行動する多くの先輩や仲間との出会いは、当時の私にとって、この上なく新鮮かつ衝撃的だったのである。そして、いつしか私も、志を同じくするものとともに、「自分のため」ではなく、「人のため」「地域のために」と気概を持って行動を起こし、喜びや苦しみを分かち合いながら、誠実にJC活動に向き合うようになっていった。今、JCの一員として過ごした日々は、私の人生にとって何よりの宝物となった。
北九州に移り住んで早くも20年が経った。このまちで過ごした日々の巡り会いの中から、生涯の伴侶を得て、守るべき大切な『家族』という存在をも与えてくれた。いまの私を形作ってくれたのは、私を受け入れてくれたこの北九州というまちであり、志高く活動を共にしてくれたJCであり、それを連綿と受け継いできた先人たちの存在であると断言できる。
私はこの北九州JCで多くの先輩と出会い、仲間と出会い、事業を経験し、たくさんのことを学んだ。一人ひとりが起こす行動に、正しく熱い情熱を注げば自ずと人は集う。その情熱は人の意識を変える。そして、まちを動かすことさえもできることを知った。それらを教えてくれたのは、過去から未来へと無限の可能性を繋げてきてくれた人の姿であり、たくましく活躍する、雄健な人の姿であった。
私も周りにそんな影響を与えられる人間になりたいと、強く思った。

※雄健・・・力強く勢いのよいこと。また、そのさま

JAYCEEであるために

40歳で卒業を迎えるというJCのシステムは、組織に健全な新陳代謝を促す。そうしてもたらされた新しい血が巻き起こす情熱と溢れんばかりのやる気は、LOMにとって大きな力となっていく。しかし、その力がJCの理念に基づいていなければ地域を変える原動力には繋がっていかない。
先達より築き上げられてきた信頼や組織のありかた、知識や経験をメンバー一人ひとりが理解し、継承していくことが重要であるのはもちろんのこと、その成長を自己完結で終わらせるのではなく、それを職場・地域・社会に、そして未来のJCメンバーへと還元していかなければならない。
我々はJAYCEEとして自らの魅力を磨き上げ、さらに地域市民から信頼される組織へと発展する必要があるのだ。JAYCEEとして成長した多くのメンバーが、地域の礎となることで、私たちが暮らす北九州の未来をより豊かに創造できると確信している。
私たちメンバー一人ひとりがLOMを創るのだという当事者意識を醸成し、組織を活性化させることにより、学び舎としての価値を高め、さらに魅力あるLOMへの進化をめざしたい。

全国会員大会北九州大会から5年を経て

『呼び覚ませ 日本のプリンシプル!~「公の精神」が日本の未来を切り拓く!~』のテーマのもと、2012年10月11日から14日の4日間にわたって開催された第61回全国会員大会北九州大会。招致段階から数えると、7年もの準備期間を経て開催されたあの興奮と熱気の瞬間から、このまちはどう進化を遂げたのか。あのとき発信した「公の精神」はいまの北九州にどう根付き、私たちのLOMにどのような影響を与えたのか。
全国大会を主管したその後を、5年という節目を機に改めて検証を行い、この大会の構築に携わって頂いた多くの皆様と共有し、今後の北九州の未来へと繋げていきたい。

地域と心が共鳴する関係性を

我々は誰かから評価を受け賞賛を得るために事業を行っているのではない。ひたむきに実直に、地域とそこに住まう人々の繁栄を願って運動を行っているのである。その信念を胸に刻み、市民との心の共鳴を常に意識していなければ、すべてが自己満足の運動で終わってしまうだろう。
LOMの活動とビジョンを広く地域に発信し、市民と心が共鳴する関係性を構築することは、より多くの賛同者を得ることに繋がり、ひいてはLOMの活動をさらに活性化させることに繋がっていく。今までの既存概念を取り払い、時代に即した発信を行うことは、LOMや委員会のめざすべき方向性と組織としての地域に対する有益性を対内・対外に知らしめる大きなチャンスとなる。メンバーがそれぞれの果たすべき役割を自覚し、組織の運動に対して使命感を持つことで、さらにメンバー個人が持つ魅力をLOMの魅力へと昇華させることができるのである。

多くの同志が集まる組織へ

現在のJCという組織は市民から見て魅力的な組織だろうか。私たちの存在は、市民から見て、「希望」となっているだろうか。全国的に会員減少の傾向が続いている近年、当LOMもちょうど10年前の2007年度をピークに会員数の減少が続いている。この状況を私たちは最重要課題として捉えなければならない。
地域において、人口の増加や定着は都市活力の基盤そのものである。JC運動においても同様に、活力の基盤となるのは会員そのものであり、『明るい豊かな社会の実現』という私たちの使命を達成するためには、基盤の強化、即ち会員拡大が必要不可欠である。
とはいうものの、私たちが行う会員拡大は、単に組織の存続を目的としているわけではない。目先の拡大実績に固執するのではなく、地域の未来を本気で考え行動する同志を一人でも多くこの地域に培っていくことこそが大義なのである。そのために必要なのが私たちメンバーのJCに対する情熱であり、それを広く伝えようという意志である。
一人ひとりが自らの運動に対して真の誇りや信念を持ちながら、地域の抱えている課題や問題を的確に捉えるだけの知識や見識を備え、その解決に向けた実行力を指し示すことができれば、さらに多くの同志が集う強い組織となることができる。
組織の大きさは行動量に繋がり、社会へのインパクトの大きさと比例する。仲間が集えば可能性は無限に広がり、それはやがて、まちを大きく動かす力となる。2017年度はその想いを胸に、これまで以上に力強い組織づくりをめざす。

北九州のファンを日本中、世界中に

近年、近隣諸国における所得の増加や訪日ビザの緩和、消費税免税制度の充実、訪日プロモーションの強化などの成果により、日本全体の訪日外国人旅行者が、2010年度の約860万人から2016年度の約2400万人へ、さらには2020年には4000万人の旅行者受け入れを目標にするなど、飛躍的な伸びを見せている。これに伴い、インバウンド需要への期待も高まっている。
しかし、わがまち北九州に目を向けてみると、ひびきコンテナターミナルへのクルーズ船寄港や、2年ぶりの北九州空港定期国際線復活などの話題はあるものの、その旅客の多くは博多・天神地区や他県への観光を目的とし、北九州での消費行動に繋がっていないのが実情でる。北九州には多数の魅力ある食や文化資源、自然資源が存在しているにも関わらずである。
彼らの足を北九州に向けるために、私たちにできることはないだろうか。
たとえば、平成27年に登録決定された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」には、日本がものづくり大国となる礎を築いた遺産群が並んでいる。また、平成28年には、戸畑祇園大山笠行事を含む「山・鉾・屋台行事」がユネスコ無形文化遺産へ登録決定した。これ以外にも、地元に住む人にとっては当たり前の自然や文化が、外の人から見れば新鮮に映ることは多い。
観光客を呼び込む起爆剤となるのは、商業施設や大型テーマパークだけとは限らない。日本人、外国人を問わず、人々が求めているのは、その土地自体が持つ風土や環境、ありのままの素材の良さではないだろうか。それらをさらに磨き上げ、バラバラに発信されていた地域資源を再編集して統一感のあるコンセプトで対外的に情報提供を行う環境をつくりあげてみてはどうだろうか。そうすれば、国内のみならず世界の人と地域を繋ぐことができ、無限の可能性が広がる未来に繋がるのではないだろうか。

地方共生に向けて

第2次安倍内閣が掲げた「地方創生」。この政策が打ち出されたきっかけの一つが、日本創成会議(座長=増田寛也・元総務相)のリポートだ。「2040年には全国約半数の市区町村で20〜39歳の女性が半数以下となり、その結果、896自治体が消滅する恐れがある」という衝撃的な内容であった。
国は自治体に、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を底上げすることを目的とした「地方版総合戦略」の策定を求め、全国の自治体においては、今まさに現在進行形で地域版総合戦略に基づいた取り組みに力を注いでいるところである。
北九州市においては、基本方針として「女性と若者の定着などにより社会動態をプラスにしていき、地方創生の『成功モデル都市』をめざす」とする「北九州市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、自立へと導く地域の活路を見出そうとしている。ただ、加速度的に進む地方の人口減少問題への対策は今に始まったものではなく、以前より地域政策の柱として、それぞれの自治体が工夫を凝らしながら、様々な取り組みを行ってきた。しかしながら、これらの取り組みが実を結んだかと言われると、大半は目立った成果を得られないまま現在に至っていると言わざるをえない。ものづくり産業の集積、充実した都市・産業基盤、エコタウンや環境産業技術、知の集積である学術研究都市、アジア諸都市とのネットワークなどの強みを多数有する北九州でさえも、人口減少、少子高齢化、経済規模の縮小といった厳しい立場におかれている。これが意味するのは、もはやこの課題においては通常の政治行政施策だけでは解決への道筋が見えるものではないという現実である。
持続可能な発展を課題とする地域は、それぞれの特色を活かした中長期的な戦略を共有する産官学民の連携の中から、自らの価値を高め、自立的に発展する存在へと進化させていかなければならない。地方創生のめざすところは、そこに住まう人々が主役になって、共に地域の未来を生み出すという気概である。言ってみれば、「地方創生」ならぬ「地方共生」が必要なのだ。そのために、私たち青年らしい視点でできることがなにかを、考えていきたい。

主権者意識を育む教育を

北欧のスウェーデンでは、国政選挙での若者の投票率が80%を超えるという。「主権者教育先進国」と呼ばれ、国や地方自治体などが長年にわたり、若者の主権者意識の醸成を推し進めてきた成果だそうだ。
一方、日本では、昨年6月、改正公職選挙法が成立し、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられた中で行われた参院選において、若者(18歳~29歳)の投票率は全国平均で40%を割っている。1月には自らのまちの未来を選択する上で重要な、北九州市議会議員の改選が行われるが、残念ながら、その投票率も劇的な飛躍を見せるものではないであろう。主権者としての意識が低く、投票行動に移す必要性や意義を見出せていない者に対して、いくら「選挙に行こう」と叫んでも、その声は虚しく響き渡るだけである。
現在の日本は、いずれ世界の国々が直面することになる少子高齢化、資源・エネルギー問題などに真っ先に取り組まざるをえない「課題先進国」の立場に置かれており、その中でも北九州市は人口減少と超高齢化が著しい「課題先進地域」である。世界と日本、そして北九州市を取り巻く環境において、このまちの未来をどのように位置付けるのかが問われている今、一番の不安要素は市民の「無関心」ではないだろうか。地域の発展を願うものとして、市民の「無関心」の蔓延は、地域の明るい未来を描いていく上で大きな問題となってくる。
しばしば「日本人は主権者意識が希薄である」と言われる。自らが国家や地域を構成する主権者、一員であるという意識が薄いのはなぜか。それは、この豊かな日本に住み暮らす現代において、国家や地域というものを意識する瞬間がなかなか訪れないからではないだろうか。私たちが地域で行われるべき教育像を指し示し、市民自らが国や地域の主役であるという意識を高めることによって、自然で健やかな愛国心と地域愛が育まれていくのである。そのような教育を実現させることこそが、今、必要なのではないだろうか。

未来を担うリーダーの共創

2005年より始まった中学生を対象とした青少年育成事業である北九州ドリームサミット(以下KDS)も13年目を迎える。これまで、1,000名を越える次世代リーダーを輩出し、卒業生である子どもたちのみならず、事業を通じて、私たち自身の大きな成長の機会ともなっている。
全国を見渡せば、子ども議会といった事業は各所でも行われているが、机上での議論だけに留まらず、子どもたちが実際に行動を起こし、検証を行い、その結果を広く市民に発信していくというKDSのスタイルは、他地域の子ども議会等では類を見ない先進的な取り組みである。昨年度は条例の制定に関する提案をはじめ、市政に対する様々な提言も行われ、子どもたちの力によって、実際にまちの仕組みを変えることができるかもしれない、という期待に満ちた、素晴らしい機会となった。
このまちの未来のために、と夢を語り、一所懸命に汗を流し行動を起こす純真無垢な子どもたちの姿に心を打たれたメンバーも多いことだろう。いまや我がLOMを代表する青少年育成事業となったが、地域の明るい未来を描くことのできる子どもを一人でも多く育成していくことは、私たちJCだけに留まらず、地域として果たすべき重要な役割であろう。
この事業に参加する子どもたちが、これまで以上に大きな夢を描けるよう、産学官民が一体となって子どもたちを応援できるような、より前衛的な青少年育成事業への発展が実現すれば、このまちの未来はさらに明るいものとなるはずである。

台北JCとの信頼関係

1970年に姉妹JC締結を行い、今日まで途切れることなく絆を深めてきた台北市國際青年商會(以下、台北JC)。メンバー同士はもとより、IFP児童交換事業を通じて、世代を越えた交流を続けてきた。幼少・青少年期における国際交流体験は、多様な価値観を醸成し、広い視野を持つ国際感覚豊かな人材を育成することに繋がる。
姉妹締結から47年。様々な困難を乗り越えながら固い絆を守り続けてきた台北JCは、本年で創立60周年を迎える。志を同じくしてきた友の記念すべき節目に立ち会えることは私たちの誇りである。これまでの関係を紡いできた先人への感謝を忘れず、100年200年先を見据えたこれまで以上の力強い信頼関係を築いていきたい。

国際交流の機会

国際交流は国や人種、文化圏の違う人々が、お互いの価値観を正当に受け入れながら相互理解を深め合うことが重要であり、JCはそのような国際交流の機会で溢れている。
世界中のメンバーが一堂に会する重要な国際交流の場である世界会議やASPACでは、ジャパンナイトをはじめとする各国ナイトでメンバー同士の友情を温め、友好の輪を広めるとともに、それぞれに対する認識と理解を深めあうことによって、改めて自国の良さや文化・歴史を振り返る機会とすることができる。また、期間中に行われる様々なプログラムは、世界における日本や地域のLOMとして、何が必要であるかを学ぶことができ、行動を起こしていく意識を奮い立たせてくれる。同時に、JCIの広大なネットワークは、社会に対しても、より多くのインパクトを与えてくれる。そして、アジアや世界のメンバーとの交流を通して行われる有益な情報交換や相互理解を得られる学びの場は、グローバルな国際社会を生きる現在の私たちにとって、今日まで磨き上げてきた運動やその精神をさらに発展させてくれる糧となるのだ。
1988年に、北九州市の姉妹都市締結に先駆けて姉妹JC締結を結んだ仁川富平青年会議所(以下、仁川富平JC)とは、国家間で歴史認識や領土領海問題など様々な課題が山積している中においても、「JCの友情は国家の主権に優先する」という理念のもと、長い期間をかけてお互いの信頼を積み重ねてきた結果、いまでも堅固な友情関係を築き続けられている。また、グローバル化に伴った情報、技術の革新が急速に進む現在、経済・社会・文化などのあらゆる分野で国際的な幅広い視野と多様な価値観への理解が求められるなか、北九州JCでは地域に住まう在日外国人を対象とした事業や、インパクトJC(モンゴル)との友好JC締結など、今までにも増して国際交流を身近に感じられる機会を多数創出してきた。
市内においても現在、多様な外国人市民の数は総人口の1%強にあたる約11,000人にのぼり、市は2016年度に「第6次北九州市国際政策推進大綱」を定め、「多文化共生」をキーワードに様々な取り組みを行っている。
少子高齢化に伴う人口減少・労働力不足が課題であるわがまちにおいて、外国人市民の存在は必要不可欠であり、彼らが地域を支える担い手として活躍できるような魅力的なまちづくりを行うことは地域益に直結する。
長きにわたり国際感覚を磨いてきた北九州JCだからこその視点で、外国人市民の社会参加を支えるためにできることを模索していきたい。
国際社会との絆が、私たちの持つ課題を明確にし、これからのビジョンを導きだし、さらには自己の成長へと集約していく。それこそが、私たちのめざす「真の世界恒久平和」の実現へと繋がる最高の機会でもあるのだ。

創始の精神から学ぶ

戦後復興期という困難を極めた時代のさなか、1953年7月3日に北九州JCの前身である小倉青年会議所が発足して以来、先人たちは常に地域変革の先駆者として行動を起こし、市民や行政を巻き込んで様々な運動を行ってきた。
一人のJAYCEEの声から始まり、多くの市民と行動を共に克服した公害問題(紫川浄化運動)は、その後の環境技術改善や整備にも大きな影響を与え、国際製鉄大学構想(KITA設立)にも繋がった。また、旧五市意識を払拭したいとの想いで、1973年より始まった「まつり北九州」は、「わっしょい百万夏まつり」へと進化を遂げ、ついに30回目を迎えるに至った。今やこの事業は、北九州の素晴らしさと郷土への想いを再確認する、市民にとって無くてはならない祭りとなった。さらに、かつて閉園の危機にあった「いとうづゆうえん」を存続運動によって救い、2002年にリニューアルしてから15周年を迎える「到津の森公園」は、市民に安らぎと憩いを与える「市民の森」として、今も多くの人から愛され続けられている。
JAYCEEが当事者意識を持って地域の明るい未来を夢見て志高く行動することで、市民を巻き込む大きな運動へと繋がり、まちが変わる。これからも私たちは先人の「創始の精神」から多くのことを学んでいかなければならない。

JCの組織運営とは

JCでは、秩序ある厳格な組織運営が求められる。経済状況や個の在り方が大きく変化してきた中で、なぜ現在もなお、このような組織運営の仕組みが残されているのか、その歴史と意味を今一度考えてもらいたい。
JCは、20歳から40歳までの年齢も職種も会社における地位も異なる、多様な個性の青年経済人が、同じ意識と方向性を共有し、お互いが切磋琢磨し高めあいながら共存していく組織である。この青年の運動が永きもの間、北九州の地においても途切れることなく続いてきたのは、先人を始めとする過去の実績に対する『信用』と、愚直までに地域の明るい未来を求めて行動するJCへの『信頼』があったからである。そして、先輩方の高い志と、地域に対する想いから生み出される運動を支えてきた力強い組織運営があったことも忘れてはならない。
公共の利益を追求するJCにおいては、公益性と透明性を高め続けることが地域社会に対する責任である。市民の信頼とメンバーの付託に応え得る、秩序ある盤石な運営基盤を強化しながら、長期的展望と俯瞰的視野を兼ね備え、社会情勢と組織の歴史を踏まえた運営のもとに、組織をより一層進化させていく必要があるのだ。
厳格かつ力強い組織運営は、運動の効果を最大限に引き出すことに繋がる。そのような意味で、JC運動の「核」は運営にあり、この運営が疎かであっては、運動の成功はそもそもありえないのである。

結びに

JCでは、素晴らしい部分が多くある一方で、理不尽なことや非効率なことも目の当たりにする。壁にぶち当たることもあれば、思いどおりにいかないこともある。失敗することだって少なくない。しかし、それらのこともすべて含めて『経験』なのだ。その『経験』をいかにポジティブにとらえ、志高く今後の自己成長に活かしていくか。その学びの場こそがJCなのである。私たちは『できるか、できないか』を問われているわけではない。『やるか、やらないか』を問われているのだ。
私を含め、JCで得られたものとして、『かけがえのない仲間』を挙げる人は多い。しかし、仲間は勝手に増えるわけではない。周りを見渡せば、志高く行動している人ほど、より多くの仲間が集まっていることに気づくはずだ。仲間とは志高き活動の副産物であるとも言える。賃金や利益の発生しない間柄の中で、人のために動く、あるいは人に動いてもらうというのは、通常の会社業務では経験できない組織マネジメントの一形態である。そのような中で、人を動かすものは何かと考えた時に、人間関係の本質は『志』にあると気がつくのである。
戦後まもない1949年9月3日、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という志から日本のJC運動が始まり、その後、全国で43番目の青年会議所として小倉青年会議所が発足した。この頃の日本は、正に混迷を極めた時代であった。成功など何も約束されていない中、先人は力強く行動を起こした。当時のスローガンである「北九州にJCを! 修練・奉仕・友情」という言葉に込められた、前向きに行動することの意義と支えあう心の大切さ。その想いこそがこの組織の原点であり、今を生きる私たちはその志に真摯に向き合い、誇りの持てるまち、安心して暮らせるまち、希望に満ち溢れたまちを将来へと繋いでいく責務があるのだ。
水面に一滴の雫が落ちることで波紋が広がる。その一滴が確かなものであれば、波紋はさらに広がっていく。本気の同志が集う組織から始まるこの起点が、より多くの市民の共感を得て、やがては課題解決の社会的ムーブメントとなり広がっていくことで、希望が可能性へ、さらには可能性が確固たる現実となる。
可能性を信じ続ければ、このまちは間違いなく輝きを増していく。

さあ動き出そう。
あなたの未来へ向かい、強く、たくましく、そして雄健に。

雄健なる北九州
~無限の可能性を実感できる都市の実現~

基本方針

1.志と誇りに満ち溢れた「たくましいJAYCEE」の育成
2.人々の情熱と可能性を広げる「心が共鳴する関係」の構築
3.地域愛を育み未来への夢を描く「北九州再興戦略」の実施
4.信頼関係と相互利益を追求する「心ある民間外交」の推進
5.信用と負託にこたえる「秩序ある力強い組織」への進化

未分類