理事長所信

笑顔咲く 希望という名の種を蒔こう

はじめに

私はJCに入会して、これまでになかった様々な経験をさせていただきました。

現役の高校生を対象とした、政治家と一緒にまちの未来を考える事業を行ったとき、参加してくれた高校生が「とても有意義で、これからの自分の未来像を描くことができた」と私に言ってくれました。

小学校に出前事業をしたとき、小学生たちの発想によって取り決められた、その小学校独自の「学校憲章」というものを作成した際には、小学校の子どもたちや先生たちから「この学校憲章を大事にしていきます」との言葉をいただきました。

2020年、未知のウイルスによるパンデミックが起こった際に実施した献血促進事業では、「おかげで市民の献血に対する理解度が高まりました」との感謝の言葉が聞けました。

コロナ禍でオンライン開催したIFP児童交換事業では、「コロナが終わったらきっと会おうね」と言葉を交わし合う、日本と台湾の子どもたちの「笑顔」がありました。

これらのように、JC運動での大小様々な経験全ての中で、必ず存在したもの。それは、人々の「希望」だったと思います。

2023年を迎えるにあたり、世界、日本は、希望に溢れているとは言えません。

新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、未だ根本的な解決に至っていません。また、2022年2月に開始されたロシアによるウクライナ侵攻も未だ解決に至っておらず、今、世界は様々な問題によって混乱し、それらによってわが国でも経済問題などが引き起こされています。

しかし、このような社会の状況だからこそ、私たちは、市民に希望を与える存在でなくてはなりません。私は身をもって確信しています。子どもには「将来への希望」を、大人には「明日への活力となる希望」を、そして外国の友人には、「平和な世界に向けた希望」を、JCは与えることができることを。

この厳しい社会情勢を直視し、市民に少しでも「希望の種」を蒔いてまいりましょう。

人々が「希望」を抱けば、自然と「笑顔」が生まれます。

私たちの蒔いた「希望の種」によって、市民に笑顔が咲き、その笑顔がまたそばにいる誰かの「希望の種」となる・・・そのような希望と笑顔の循環がまちいっぱいに拡がることによって、明るい豊かな北九州が実現できることを私は確信しています。

子どもたちに希望の種を蒔こう

子どもたちが、日本の未来に、まちの未来に、そしてなによりも、自分の将来に希望を持って生活するために必要不可欠なマインドは、子どもたち一人ひとりの「自己肯定感」です。

「今の自分が好きである」からこそ、未来に向けて希望を抱くことができますし、「今の自分が好きである」からこそ、社会や他者といった自分以外の事柄に目を向ける「心のゆとり」が生まれてくるのです。

しかし、内閣府が公表した「令和 4 年版 子供・若者白書」によると、「今の自分が好きだ」という気持ちを持っている日本の子どもは、46%と高くありません。また、国際的な比較においても、令和元年の同書の公表によると「自分自身に満足しているか」という設問に対し、アメリカやフランスの若者は 86%を超える肯定的な回答であるのに対して、日本の若者は 45%と、他国に比べても日本の子どもの自己肯定感は低い水準にあります。

さらに、同様の調査によると、「将来への希望」や、「社会現象が変えられるかもしれない」という意識も、諸外国に比べ、日本の子どもたちの意識は低い結果となっています。

このような状況を打開し、子どもたちが未来に向けての希望を抱く素地となるマインドを醸成するため、本年度は、子どもたちの自己肯定感を高めることをテーマに、一人でも多くの子どもたちに届けられるよう、運動を展開してまいります。

そして、言うまでもなく、各々の子どもの教育や成長を主として担っているのは子どもたちの保護者です。子どもたちの自己肯定感を高めるためには、子どもたちに直接働きかけることも重要ですが、それと同じくらい、教育の主たる担い手である保護者に対しても、子どもが自己肯定感を持つことの大切さや、自己肯定感を育む教育の在り方を理解していただくことも重要です。「ありのままの自分が好き」でいられる子どもであってほしいと願うのは、どのような生活環境であったとしても、親であれば当然のことです。

本年度は、子どもに対してだけではなく、その保護者に対しても働きかけをおこない、両側面的に子どもの自己肯定感を育む事業を構築してまいります。

過去を知り、組織の未来に希望を抱こう

1953年、「北九州にJCを!修練・奉仕・友情」のスローガンのもと、小倉青年会議所が設立されました。設立当初、九州全域が大水害に見舞われ、小倉青年会議所は奉仕活動の第一歩として、被害地区での援助活動と防疫活動にメンバー全員で取り組んだという歴史があります。JCI北九州は、その時々のメンバーが常に創始の精神を胸に、時代に即した運動を展開し、今日に至っています。

本年、JCI北九州は設立70周年という大きな節目を迎えます。先人たちから受け継いだこの組織と運動を、「今」を担い、そして「未来」に継承する責任者である私たちは、この節目を絶好の契機と捉え、過去と現在と未来を強靭に紡いでいく必要があります。

過去を知らずして、未来を描くことはできません。JCI北九州には、語っても語りつくせないくらいの輝かしい伝統があり、先輩諸兄姉のおかげでその「過去」が作られてきました。

70周年という大きな節目にあたり、あらためて、現役・OB・関係者で歴史を共有し、先輩諸兄姉への感謝の気持ちを胸に、メンバー全員でJCI北九州の希望溢れる未来像を描いてまいりましょう。

市民に希望の種を蒔こう

2020年よりはじまった新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、このまちの経済に対し、かつてないほどの大打撃を与えました。

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によって、世界各国は「水際対策」として、外国人の入国を厳しく制限しました。

日本も例外ではなく、観光目的を中心とした外国人の入国を厳しく制限した結果、コロナ前には成長市場のひとつであった、いわゆる「インバウンド市場」は壊滅的な打撃を受け、同市場を構成する宿泊、飲食業は危機的な状況に陥っています。

現在、政府はウィズコロナの方針に基づき、徐々にではありますが、新型コロナウイルス感染症に起因する様々な規制を緩和しつつあります。

それに伴い、観光分野においても、政府は新型コロナウイルス感染症の水際対策を緩和し、個人旅行客の入国を解禁する方針を打ち出し、インバウンドの中心である個人旅行者の増 加を図ろうとしています。

今は、コロナ禍からアフターコロナ、ウィズコロナへの過渡期です。

インバウンド市場は、「まち」と「まち」との競争でもあるという性質を鑑みると、わがまち北九州は、ウィズコロナにおけるインバウンドの再興に乗り遅れることなく、他の地域に先んじて、インバウンドの受け入れ態勢を再構築していかなければなりません。

さらに付言すれば、ウィズコロナの状況下でインバウンド市場において選ばれる「まち」の要素は、そのまちの観光資源だけではなく、「誰もが訪れやすい地域づくり」による、まち全体の受け入れ態勢も重要なファクターとなってくるのです。

例えば京都のような外国人から見てわかりやすい観光資源を持たない北九州にとって、他のまちよりも充実した受け入れ態勢を敷くことは、インバウンド市場における競争戦略として極めて重要な意義を有するのです。

2023年は、わがまち北九州が市政60周年を迎える年であり、このまちの明るい未来に向けた機運が高まることが期待されます。カウンターパートである行政と手を取り合い、この契機を最大化することも、まちの経済活動を活性化する上で重要な要素となります。

これらの戦略を基本方針として、「まちの活力」の活性化を目指し、市民の希望となり得る運動を展開してまいります。

国際の友情関係に笑顔を咲かそう

2020年からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、各国において厳しい入国制限が敷かれた結果、JCI北九州が途切れることなく行ってきた姉妹JCとの交流は、極めて制限された状況での実施を余儀なくされました。

そのような中でも、姉妹関係を重んじることがJCIの理念である「恒久的世界平和」に寄与することを理解している私たちは、デジタルを活用して、姉妹JCと様々な交流を実現してきました。特にオンライン開催したIFP児童交換事業においては、PCの画面越しであっても、「いつか会おうね」と語り合うたくさんの子どもたちの笑顔がありました。

「コロナ前」の国際交流と、「コロナ禍」での国際交流の両方を実体験した私が強く感じたのは、やはり国際交流は「実際に会う」ことが重要であるということでした。そして、そこでお互いの「ぬくもり」を感じ合うことが極めて重要であると考えます。

WEB会議ツールを活用すれば、お互い顔を合わせて、リアルタイムに言葉を交わすことが画面上でできます。しかし、お互いが物理的に「側にいる」ことで、「ぬくもり」を感じられる交流なくして、「恒久的世界平和」に寄与する真の国際交流をおこなうことは困難です。

前述のとおり、新型コロナウイルス感染症の水際対策が緩和されつつある現状であるからこそ、方法を模索しながら実際に会う形での国際交流事業を復活させたいと考えています。

仮に、新型コロナウイルスの状況やその他の社会情勢によって、実際に会うことが叶わなかったとしても、今の現役メンバーに対して、実際に会う国際交流の意義や楽しさを伝えた上で、その時にできる一番充実した形での国際交流事業を構築し、対面交流が実現されるその日に向けて、姉妹JCとの互いの友情を更に深めてまいりましょう。

また現在は、政府が推進する外国人留学生の受け入れ施策などにより、以前に増して多くの外国人がこのまちに住み暮らしています。そのような人々と積極的に相互理解を図ることで、メンバーの国際感覚を高めてまいりましょう。

意義を知り、希望を与え、笑顔を咲かす人になろう

入会して間もないアカデミーメンバーは、事業を経験することによって、初めてJCが市民に希望を与えるその瞬間を体感することができます。

かつての私がそうだったように、先輩方に指導されながら初めてJC運動を肌で感じるまでは、「自分が市民に希望を与えることができるのだろうか」「自分が社会をより良くできるのだろうか」という純粋な疑問を抱いていました。

そのような疑問を払拭し、市民に希望をもたらすJAYCEEへと進化するためには、JC運動のダイナミズムや市民に与えるインパクトを、実際の事業を通じて「肌で感じる」ことが唯一の教育手法であると私は考えています。

そして、アカデミーメンバーがJC運動のダイナミズムを強烈に感じてもらえる機会こそが、「わっしょい百万夏まつり」であり、「到津の森公園支援事業」であるのです。

両事業は、当時のまちが抱える問題を解決するために、私たちの先輩方が立ち上がり、それが市民を巻き込んだ事業となり、今やこのまちになくてはならないものとなっているという歴史的経緯を有しており、いわば JC 運動の「お手本」となるべき事業です。

アカデミーメンバーには、組織の歴史を知ることや、品格ある青年経済人としての振る舞い方を学ぶなど、様々な研修カリキュラムを受けることでJC運動に対する理解を深めてもらうと同時に、上記の両事業を実際に「体験」してもらうことによって、自身が、そしてJCI北九州が、「市民に希望をもたらす存在である」ということを最大限に学ぶ機会を創出します。

明日への希望となり得る時間を創造しよう

月に一度、メンバーが一堂に会する例会は、組織の方針を再確認する場であると同時に、メンバー全員に与えられる学びの機会の場であり、それだけに、決して妥協をすることはあってはなりませんし、1分1秒を無駄にしない例会が求められます。よって、その月々の担当委員会がルーティンの意識を持たず、各会に本気で取り組む必要があります。

私が2014年に入会するにあたり出席した例会は、奈良県のお寺「薬師寺」の住職である大谷徹奘(おおたに てつじょう)氏を講師にお招きした講師例会でした。大谷講師の講話は、仏教的な観点から人と人とのかかわり方や、あるべき心の持ち方をわかりやすく説く内容でした。当時その例会に仮入会者として出席した私は、「毎月このような素晴らしいセミナーを受講することができるのか」と驚愕し、感動したことを今でも鮮明に覚えています。無論、その後早々に入会したのですが、今でも変わらず「例会の質」というものが大切であると感じています。

「例会の質」とは、高いと感じるものほどメンバーの気付きや学びに繋がり、ひいてはメンバーの素養の向上にも繋がると考えます。

本年度は、これまで以上に例会の質を高めることに注力し、参加者が「とても有意義であった」と感じることができる例会の構築を意識することにより、参加者に対し希望を与え得るものにしていきます。

新型コロナウイルス感染症の猛威により、会うことさえも許されなかった私たちは、緊急事態宣言が明けてやっとの思いで開催できた例会で、仲間と会うということがどれほど喜ばしいことかを知ることができました。例会という、年間わずか12回しかないメンバーが一堂に会する稀有な機会を一度として無駄にせず、明日への希望となり得る、そして笑顔を咲かす場にしましょう。

希望を与える相手をイメージしよう

私たちがおこなう運動には、必ず「対象者」が存在します。

すなわち、私たちが、どのような「属性」の市民に対してどのように「深く働きかける」のかということは、事業を構成する重要な要素です。

事業の効果を高めるためには、より多くの「事業対象者」に、当該事業に参加していただく必要があり、私たちがおこなう広報活動も、おのおのの事業が想定する「対象者」に対して、深く確実になされる必要があります。

近年では、主たる広報手段と言えば、SNSをはじめとするWEBを用いた広報活動でした。しかし、我々がおこなう事業のように特定の事業対象者に対して確実にリーチさせることを目的とする場合、不特定多数に対するリーチを特徴とするWEBによる広報活動は馴染まない場合も多いと考えます。

むしろ、私たちが想定する事業対象者に対して発信力を有する組織や、事業対象者を構成員とする団体などと個別に信頼関係を築いた上で、事業の内容によって広報を目的とした提携を組んでいくことが、JC運動の広報としてより効果を発揮するものであると考えています。

そのような広報体制を主としつつ、WEBによる発信を補完的に用いることによって、直接事業対象者にならない市民に対しても運動を発信し、また運動だけではなく、JCI北九州の存在そのものの認知度向上も併せて実現していくことができます。

本年度は、WEBを用いての広報手法に拘泥することなく、その事業を「誰に届けたいのか」をしっかりとイメージした上で、実際に事業の参加員数増加に寄与する広報体制を確立してまいります。

組織の未来を見据え、希望という名の種を蒔こう

私たちがこれからもJC運動を永続的におこなっていく上で一番重要なことは、このJCという組織が在り続けることです。そのためには、私たちの運動に共感し、共にJC運動をおこなう仲間を増やすこと、すなわち会員拡大運動が何よりも重要であり、常にメンバー一人ひとりが、拡大意識を低下させることなく取り組み続ける必要があります。

私はJCI北九州を他者に説明する際、「このまちのためになる活動にチャレンジして、結果はどうであったとしても、自分が成長できる場所」と言います。加えて、「会社や家庭ではない場所で、たくさんの経験と能力を身につけることができ、年齢を重ねても相談し合える仲間に出会える組織」と伝えています。私にとってその言葉は本心であり、入会を目的とした営業トークでなくても、そのような経験ができることを望む人々にとっては、関心が高まり、入会する動機としては十分ではないでしょうか。

このように、一人でも多くのメンバーが自身の経験を嘘偽りなく語れることこそが、たくさんの共感を生みだし、その結果、自然的に会員数が増加していくことを確信しています。

今在籍しているメンバーは、必ずどこかのタイミングでJCを好きになり、今もなお自身の判断において JC 活動を継続しています。その理由こそが、JCという組織を説明する上で語られるべきものであります。その嘘偽りない言葉に共感し入会を決意したのであれば、もはや志同じくする人物であるかどうかは疑う余地はありません。

一人ひとりのその偽りのない言葉は、誰かの希望に変わります。今こそこれまでを振り返り、なぜ今もJCを続けているのかを明確な言葉にし、発信することで、「希望という名の種」を蒔き続けましょう。

最後に

「希望という名の種」を蒔き、市民の「笑顔」を咲かす。設立から70年という長い歳月の中で、これまで一度として途切れることなく、この循環は生まれ続けました。その数えきれないほどの咲かせた笑顔は、他の誰かの希望になっています。

たった一人でもいい。そこに笑顔を咲かすことこそが、我々の使命です。我々が目指す明るい豊かな社会は、その先に必ずあります。さあ、咲かせましょう。今こそ私たちが、これからの未来に向けて、「希望という名の種」を蒔く番です。

一般社団法人 北九州青年会議所
第71代理事長 上田 信晃

2023年度運動方針

  1. 子どもたちに、市民に、希望を与えよう
  2. 過去を知り、組織の未来に希望を抱こう
  3. 国際の友情関係に笑顔を咲かそう
  4. 意義を知り、希望を与え、笑顔を咲かす人になろう