理事長所信

vi

はじめに

1953年7月3日、ここ北九州で産声をあげた北九州五市青年会議所(創立当初の名称は小倉青年会議所。後に北九州青年会議所に改名・以下「北九州JC」)も今年で63年目を迎えました。北九州JCは、創立以来「明るい豊かな社会の実現」という壮大な理念のもと、常に考え運動を展開してまいりました。私たちはこれからも変わらず、この理念のもとに邁進して行かなければなりません。

世界の構造をシンプルに考えてみると、この世界を形成している源は“人”であります。“人が集まってまち”となり“まちが集まって国”となり“国が集まって世界”となります。すなわち、私たち一人ひとりが、家族や企業等のコミュニティを形成し、そのコミュニティが集まって、北九州という“まち”を形成しています。そのようにしてできた“まち”の集まりは、日本という“国”を形成し、日本は、他の様々な国と共に“世界”を形作っています。つまり、“まち”も“国”も、そして“世界”も、その本質的な構成要素たる“人”なくして、存在することはできません。

これを換言すれば、私たち「人」は、その一人ひとりが、“まち”“国”“世界”の今を形作り、その未来を創造する存在であり、一人ひとりの“人”が変われば、まち(北九州)が変わり、国(日本)が変わり、ひいては世界を変えることが出来るといえます。いつの時代においても、世界を変えてきたのはたった一人からであることは紛れもない事実です。まずは、私たち一人ひとりが、先人たちが連綿と受け継いできた歴史に感謝しつつ、“まち”の問題、“国”の問題、“世界”の問題に当事者意識を持って、一歩を踏み出すことが必要です。私たち一人ひとりが“個”を磨き、意識を変革し、一歩踏み出し、行動することこそが、「明るい豊かな社会の実現」への第一歩へ繋がります。
そのような一歩を踏み出した“人”が集まって、小さな絆となります。その絆が、“まち”に広がり、“国”に広がり、やがては“世界”に広がったとき、私たちの運動は、「明るい豊かな社会の実現」に向けて、大きく前進しているはずです。

私たちは、先人たちから受け継いできた歴史という財産、素晴らしいメンバーという財産、そして北九州という潜在力にあふれた財産を有しています。
私たちなら出来ます。
「明るい豊かな社会の実現のために」
「明るい豊かな北九州の実現のために」
これらの使命を胸に、一人ひとりが当事者意識を持って、一歩を踏み出し、市民を巻き込んで“絆”へと進化させ、“絆”の輪を広げていきましょう。

最初の一歩は勇気から

森が燃えていました
森の生き物たちはわれさきにと逃げていきました
でもクリキンディという名のハチドリだけは行ったり来たり
口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます
動物たちはそれを見て「そんなことをしていったい何になるんだ」と笑います
クリキンディはこう答えました
「私は、私にできることをしているだけ」

“ハチドリのひとしずく”

私たちが、社会を変えるために必要な最初の一歩を踏み出すためには、何が必要でしょうか。それは「勇気」です。私たちは勇気さえあれば、自ら一歩を踏み出すことができるはずです。しかしながら、勇気を持つというのは、簡単にできることではありません。「俺がやらなくても、誰かがやってくれる」「失敗したら恥ずかしい、恰好悪い」このようなマイナスの感情に駆られ、私たちは、最初の一歩を踏み出すための勇気が中々持てずにいるのが現状です。
では私たちは、どうしたら勇気を持てるのでしょうか。愛する者の為に、命を投げ出す人がいます。どんなに周囲から批判を受けても、自らの思想信条を貫き、行動する人がいます。大切な何かがあり、それを信じるからこそ、私たちは勇気を出せます。私たちが信じるもの、それはいったいなんでしょうか。その答えは私たちの偉大なる先人たちが築き上げてこられたものに示されております。

北九州JC創立以来62年間、先人たちは、「“誰か”ではなく“自分(自分たち)”がこの世の中(まち)を変えていくのだ」というまちづくりへの熱い想いを持って行動してきました。「紫川浄化運動に立ち上がったJC」 「合併後の旧五市の意識をまとめ、現在のわっしょい百万夏祭りの礎を作ったJC」 「国際製鉄大学からKITAを設立したJC」 「存続運動により到津の森公園閉園の危機を救ったJC」先人たちはいつの時代もこのまちを愛し、自らが先頭にたって汗を流して活動をする事で、周囲を巻き込みながら大きな運動へと繋げてきました。まさに勇気ある一歩を踏み出してきたのです。それこそが、先人たちから脈々と受け継がれている創始の精神であり、創始の精神こそが、私たちが一歩を踏み出す勇気の源なのです。

価値観が多様化した現代社会において、JC運動の焦点が絞りづらいことは確かです。また、他人、地域、社会の為にという意識が薄れた風潮の中で、JCにとっては、その運動を展開するにあたって、大きな試練に直面しているともいえるでしょう。しかし、このような厳しい時代であればこそ、私たちは、その創始の精神に立ち返り、自らに課せられた社会的責任を自覚しつつ、勇気をもって一歩を踏み出し、皆で力を合わせ、活力ある運動を展開していく事が必要であると確信しています。

ひとづくりから広がる絆の輪

まちづくりの主役である私たちJAYCEEは、常に成長していかなければなりません。
私たちが成長するためには、多くの経験と挑戦、そして素直なこころが必要です。自らの限界を定めず、素直なこころを持ち、新たな事柄に挑戦することで大きな成長が得られます。JCには例会や各種事業、各種大会、出向等様々な活動を通して、自らが成長できるチャンスやヒントを掴める環境が整っています。私たちは常に学ぶ姿勢を持ち、率先してこの機会を活かして行かなければなりません。
また、私たちは、青年経済人として会社や家庭、地域社会等、青年会議所活動以外の場面でも自己研鑽に励み、活動の幅を広げる知識や見識を広げていかなければなりません。
私たちがJAYCEEとしての意識を高め、成長することこそが、地域への説得力となり、明るい豊かな社会へと進化していく原動力となります。

いつの時代も私たち親世代が、次代を担う子どもたちの道標となり、健全な成長へと導いていかなければなりません。私は子どもが成長する過程において、重要な要素の一つに「成功体験」があるのではないかと考えております。目標に向けて計画し、成功へのプロセスを着実に進めていくことも当然重要ですが、達成した時の喜びは、何事にも代え難いものであり、次の目標へ向けた大きな原動力となるのです。2005年より、私たちは、将来の北九州を担う子どもたちに対し、そのような「成功体験」を経験させることができる事業として、市内中学生を対象とした「北九州ドリームサミット」(以下KDS)事業を行ってきました。KDSも、今年で12年目を迎えます。私も2013年に担当副理事長としてこの事業に詫わった経験がございます。その時に、10年後の未来の大切な人にメッセージを書いてタイムカプセルに入れるという、北九州市政50周年記念事業がありました。その式典のあいさつで、当時の中学生議長の話したスピーチが今でも忘れられません。
「10年後、市長になって、このまちを笑い声の絶えない、今より素敵なまちにします」
KDSは「未来の為に、我がまちに対して、そして社会に対して何が出来るのかを、自ら考え行動する子どもを育成する」ことにあります。換言すれば、KDSは、未来の北九州のリーダーを育成する事業なのです。私はスピーチを聞いて、未来の北九州を担っていく人材の育成に、確かに貢献してきていることを確信しました。さらに、一昨年からは、KDSに参加した子どもたちが、日本JC主催のJCIJAPAN少年少女国連大使や、フィリピン研修事業に参加するなど、活動の領域は、日本、そして世界に広がっています。北九州の未来を担う人材育成の為に、この素晴らしい青少年育成事業を今年も実施します。

“まちづくりはひとづくりから”、まずは会員一人ひとりの成長と、未来を担う子どもたちの育成(成長)が、まちを変える力となり、市民を巻き込む力となり、“市民”と“市民“を繋ぐ絆となることを確信しています。

まちづくりから広がる絆の輪

「まち」は、そこに住む市民によって形成されています。従って、いつの時代であっても、どう変化しようとも、市民に、「誇り」や「愛着」を感じさせる「まち」でなくては「明るい豊かなまち」にはなりません。では、市民に、まちに対する「誇り」や「愛着」を感じてもらうためには、どうすればよいのでしょうか。私は、まちに生きる市民一人ひとりが、当事者意識を持って、まちづくりに参画してもらうことが重要であると考えます。親が、手塩にかけて育てた我が子をかけがえのない存在と思うのと同じように、市民一人ひとりが、当事者としてまちづくりに参画すれば、市民は、自らが考え、行動してつくった「まち」に愛着を感じ、誇りを持つことができます。まちを創っていく主役は、行政でも企業でもなく、私たち市民一人ひとりです。「自分たちが愛するまちだからこそ、自分たちの手で、より良いまちにしていかなければならない」一人ひとりにそんな想いが芽生え、“自らがこのまちを形成している一人”という当事者意識を持って行動を起こすことが出来れば、“市民”と“まち”の間に絆が生まれ、この北九州はもっと魅力的なまちへと発展していくはずです。

 市民が当事者として、まちづくりへ参画する重要な機会の一つが、参政権の行使です。昨年度行われた、北九州市長選挙の投票率は過去最低「35.88%」という結果でした。この低い投票率の要因は、「誰を選択しても同じだ」「誰を選択したらいいかわからない」といった、日本社会を覆う政治不信・無関心が影響していることは間違いありませんが、本質的な要因は、私たち市民の、当時者意識の欠如にあると考えます。市民に、まちづくりに当事者意識をもって頂くには、市民一人ひとりが、「自分たちで考えた選択肢で政治が変わるのだ」ということを実感することが必要です。折しも今夏の参議院選挙より選挙権を与えられる年齢が、従来の20歳から18歳に引き下げられました。この変化を、意識変革のチャンスと捉え、若者を中心とした、市民一人ひとりの政治意識を高める運動を行っていきたいと思います。

北九州に暮らす私たちは、北九州というまちを創る権利と責務を持っています。その自覚を胸に、“市民”と“まち”との絆を結びつつ、明日の北九州を創っていきましょう。

将来の子どもたちへ郷土愛で広がる絆の輪

私たちが、未来の北九州を担う子どもたちにすべきことは、北九州を今よりも明るい豊かなまちに進化させ、次世代に引き継ぐことであると考えます。
しかし、日本の多くの地域では、高齢化・人口減少がまちの発展に大きな影を落としており、北九州も例外ではありません。北九州市は、人口の中での高齢者の占める割合が28.5%(2015年9月30日現在北九州市データ)と、政令指定都市の中で最も高齢化率が高い都市です。また、人口も、1979年の106万8千人をピークに、2005年には100万人を割り込み、現在は約97万2千人(2015年9月30日現在北九州市データ)と、減少の一途を辿っています。高齢化・人口減少の要因として、北九州市においては、10代後半から20歳代後半の若年層の人口減少率が高いことが挙げられます。つまり、北九州の高校・大学・専門学校を卒業した若者は、就職・進学等で市内を離れ、そのまま他の地域に住み付いてしまっているのです。このような現状を鑑みると、明るい豊かな北九州を創造するためには、まずは若者の流出を食い止めていくことが先決であると考えます。子どもが大人となり、地域で元気に働き、地域で子どもを育てる。このサイクルを作る事こそが人口減少を食い止め、地域をさらに発展させる一手となるのです。そのために必要不可欠なのが、一人ひとりの郷土愛です。

郷土愛を育む為には、まずは自らが暮らす地域の自然、歴史、文化に触れ、魅力を知ること、そして、自らの成長の過程で、地域に生かされ、地域の方々に支えられていることに気付き、感謝の心をもつことが大切です。
どのような夢を抱き、どのような職業に就いたとしても、郷土を愛し、大切に思い続ける心があれば、一度は郷土を離れたとしても、必ず帰ってくることでしょう。子どもたちが、地域を知り、地域の人々に感謝する体験を通じて、家族を愛するように、自らの地域を心から愛し、誇りに思う、豊かな心が醸成されます。
まちの将来を担う子どもたちが、自らのまちを愛し、誇りに想い、夢(将来)を語れる、このような郷土愛溢れるまちの実現が、将来の「明るい豊かなまち」を築いていくのです。
そして、郷土愛溢れるまちが想いを一つに繋がり、絆が生まれれば「明るい豊かな社会」へ近づいていきます。
将来を担う子どもたちへ郷土愛を育み、絆の輪を広げて行きましょう。

国際交流から広がる絆の輪

北九州JCは、1970年には台湾の台北市國際青年商會(以下台北JC)と1988年には大韓民国の仁川富平青年会議所(以下仁川富平JC)とそれぞれ姉妹JCを締結し、毎年国際交流事業を行ってきました。台北JCとは46年間、仁川富平JCとはと27年間、領土問題・歴史問題等、国家間に緊張感があった時期もこの交流は途切れたことはありません。先人たちが“言葉や国境を越えた友情関係”を何年も何年も絶えることなく紡いできたからこそ、今日の姉妹JCとの友情関係があります。私たちは、先人たちが築いてきた、この友情関係を継続していく責任があります。

私は、JCに入会して以来、国際交流の委員会に多く所属してきました。多くの国際交流の経験から感じたことは、国際交流は、例えるなら鏡であるということです。鏡に向かって、お辞儀をすれば、鏡に映った自分の姿は、自分に向って頭を下げています。人間と人間の関係も、鏡と同じです。目の前の相手と私は、本当は一つ。目の前の相手は自分の鏡です。相手を尊重すれば、自分も尊重される。逆に相手を憎めば、憎しみを返される。それが言葉や文化の異なる外国人となら尚更です。愛情をもって楽しく交流を行えば、相手も同じように返してくれます。それが国際交流の基本であります。

国際交流を行う私たちは、いわば民間を代表する外交官です。相手のJCメンバーも、他国を代表する民間の外交官です。お互いがお互いの国の歴史・文化・伝統・言語を理解し合いながら交流を行う事は勿論、人間として相手の気持ちを考え交流する事が重要です。しかしながら、決して相手に遠慮し“おもてなし”という名のご機嫌とりになってはいけません。相手の要望を聞くだけの国際交流ならば、JCは必要ありません。国際交流の目的をしっかりと理解し、今後の友情継続の為に、伝えるべきことはしっかりと伝えなければなりません。時には議論の中で意見の衝突があるかもしれませんが、それはそれで構わないのです。その議論が、お互いにとって真に意味のある議論ならば、分かりあい、より深い友情に変わっていきます。
上辺だけの関係ではない、強い絆で結ばれた真の友情関係を作ること、今年度はこのポイントを重視した取り組みを行っていきたいと思います。

姉妹JCとの国際交流だけが、北九州JCの行う国際交流ではありません。JCI全世界のJCメンバーと交流できる世界会議は、今年はカナダのケベックで開催されます。また、アジア地域のメンバーと交流の行うことが出来るASPACは、台湾の高雄で開催されます。各国ナイトやジャパンナイトなど、これほど一度に多くの海外メンバーとの交流が出来、北九州の発信が出来る機会はありません。また、グローバル化の進む現在において国際的視野を持つことは非常に重要であります。多くの会員で参加し、海外メンバーと絆を深めましょう。

さらに、北九州JCは、2014年より北九州市内に住む外国人を対象にしたグローバル事業を実施してきました。北九州市は、アジアのゲ-トウェイとして多文化共生先進都市を目指しております。1万1千人を超える多くの外国人が、北九州市で生活しています。しかし、彼らの生活には、言語能力不足による地域社会との摩擦、コミュニティの欠如による孤立等、通常の市民にはない、特有の問題があります。今後も、地域に根差したJCとして、地域に存在する国際問題にも目を向け取り組む事が重要だと考えます。今年はグローバル事業を産・学・官を巻き込んだ幅広い運動へ進化させることで、更なる北九州の国際化に寄与していきたいと思います。

JC運動の最終的な目的は「恒久的な世界平和の実現」です。国家間の問題を解決するとき、その国を構成する民間人同士の友情、交流が極めて重要な役割を果たします。JCが行う国際交流こそが、「恒久的な世界平和の実現」に繋がるものであることを私は確信しています。民間外交の担い手である私たちJAYCEEが先頭となって、このまちから友情という絆の輪を世界に広げていきましょう。

JAYCEEの絆の輪を広げよう

青年会議所は、北九州JCだけではありません。福岡県を管轄する福岡ブロック協議会、九州を管轄する九州地区協議会、日本全体を管轄する日本青年会議所、さらには世界恒久平和を希求するJCIがあります。せっかく青年会議所に入会したのであれば、北九州だけで活動するのではなく、出向の機会を積極的に活用しなければなりません。しかし、北九州の活動と出向の活動とがしっかりとリンクしていなければ、そのような機会を有効に活かすことができません。北九州の運動をしっかりと福岡に、九州に、そして全国に発信する。逆に、出向した北九州JCメンバーが、出向先で様々な事を吸収し、北九州へ持ち帰り発信する。それがJAYCEEを繋ぐ絆となります。

また、北九州JCにとって有益な、日本JCが推奨するセミナーや事業も沢山あります。
しかしながら、いかに素晴らしい事業やセミナーであっても、私たちが、消極的な姿勢・受け身の姿勢で取り組んでしまうと、効果的なインプットが出来ません。積極的に情報を取りに行く姿勢と仕組みを構築していく事が必要です。

日本全国には、各地青年会議所が697LOM、3万4千人の会員がいます。また、世界各地には、130の世界各国地域、16万2千人の志を同じくした仲間たちが、世界の各地域で、「明るい豊かな社会の実現」にむけて運動に邁進しています。これらJCの持つ広域ネットワークこそ、JCの最大の武器であり、絆の輪を広げる為にも、もっと有効に活用しなければなりません。

関門海峡を隔てて、北九州JCと隣同士の関係にある下関JCとは、今年で友好JC15周年を迎えます。お互いの共有財産である関門海峡を挟んだLOMの会員同士、交流を発展させ、絆を深めることが出来れば、将来の関門地域の発展に向け、夢のある共同事業を展開できる可能性が広がります。

現在は、インターネットの世界的な普及に伴い、私たちが、自宅や会社にいながらパソコンをひと叩きすれば、世界中のニュースや情報が入手できる時代です。また、SNSの急速な発展により、携帯端末ひとつで世界中の人と瞬時にコミュニケーションをとることが出来ます。私たちの身近な運動を世界中の仲間に発信することも、世界中の仲間が行っている運動を私たちが知ることも、それほど難しいことではありません。私たちには、世界中に志を同じくした仲間がたくさんいます。JCの持つ世界規模の広域ネットワークを最大限に活用して、JAYCEEの絆の輪を広げていきましょう。

絆溢れる強い組織をめざして

会員数の減少、事業に対する参加意識・目的意識の低下、他団体の活躍等、今ほど北九州JCの存在価値が揺らいでいる時期はありません。そのような時期だからこそ私たちは、「明るい豊かな社会」を実現するという本来の理念に立ち返り、同理念達成のための組織構築・組織運営をしていかなければなりません。JCは、歴史と伝統によって培われた、強固な組織を持っています。しかしながら、海外から見た日本社会と同じように、ルールや柵が多く存在し、時にそれが変革の妨げとなります。繰り返しになりますが、私たちは「明るい豊かな社会」を目指して運動を展開しております。その為には従前の組織の在り方にこだわる必要はなく、今の時代に見合った、本気で目的を達成できる柔軟かつ強い組織作りと組織運営が必要です。これは、事業構築においても同様であります。継続事業も含め、安易に過去の前例を踏襲することなく、一つひとつの事業構想をしっかりと考え、今年やらなければならない事をしっかりと行います。

柔軟かつ強い組織を作っていく為に最も重要な運動は、会員拡大運動です。新しい会員の入会は組織の新陳代謝を促し、組織を活性化させます。また、私達の運動を本気で市民に伝播させ、社会に広めることができるのは、運動の当事者であるJCのメンバーであり、その会員が増えれば増えるほど、私たちの運動も、より多くの市民に伝播し、より社会に広めることができるのです。従って、会員拡大運動そのものがJC運動であるといっても過言ではありません。私たちは、時代に合った様々な手法を戦略的に用いて、会員拡大運動を行う必要があります。もっとも、私たちの会員拡大運動は、ただその時々の会員数を増やすことに拘泥してはなりません。新入会員の中には、入会後すぐに退会、休会する会員が少なからず存在する現状があります。これは、本人を取り巻く経済状況や家庭状況の変化によるものもありますが、多くは、入会前と入会後で、その新入会員が抱いていたJCに対するイメージに開きがあったからだと思います。今年はまず、入会前に、私たちJC運動の本質を確実に理解してもらうために、仮入会者期間をしっかりと設け、入会希望者にJC運動を実際に体験してもらい、運動を理解してもらった上で、厳格な入会審査を実施し、本質的な会員拡大に繋げたいと思います。

また、新入会員をしっかりと研修することも、組織強化にとって不可欠です。JCの歴史や理念、基礎知識、JAYCEEとしてのルール、マナー、振る舞い等、新入会員に、会員としての基本を学んで頂く機会を創ってまいります。さらに「このまちのために、何が出来るのか。自ら知恵を絞って考え、目標を立て、汗を流して行動する事で、周囲を巻き込んでいく」この先人たちから受け継いできた創始の精神をしっかりと学んでもらうために、アカデミーメンバーには自ら考え、自ら汗を流し、自ら行動する、この過程を体験して頂くことで、来年以降のJCを担う人財を育成していきたいと思います。

さらに、月に一度、会員が一堂に会する例会も、LOMの方向性や意思統一を図る事ができる重要な組織強化の機会です。今年は、各月の例会でテーマを明確にして実施します。そして、毎月の例会は、一人ひとりの会員に、JAYCEEとして運動を展開するための知識、問題意識、マインド、行動力をしっかりと身に着けて頂く場とします。それと同時に、志を同じくする会員が切磋琢磨し、時には真剣に、時には楽しく交流することで、真の友情を深め、会員同士の絆を広げ、北九州JCの組織を強化する機会とします。また、公開例会を通じて、私たちの運動の対外的な発信の場として例会を活用していきます。

さいごに ~Road to Future~

改めてとなりますが、社会が変革するための根源は、法律でも制度でもなく「人」であると考えます。まずは私たちが変わらなければ、法律や制度も変わりません。変革する為に、まずは私たちから行動を起こしていきましょう。たとえ小さなことでも、私たちには出来ることがあります。それは微力かもしれませんが、決して無力ではありません。そして、そういった志高いメンバーが集まった北九州JCは、このまちを変える大きな可能性を秘めた団体です。メンバー一人ひとりが、その可能性を信じ、誇りを持って、勇気ある一歩を踏み出しましょう。その一歩が人と人とを結ぶ小さな絆となり、やがて大きく世界を結びます。私たちには志を同じくした仲間がたくさんいます。世界中にいます。未来を切り拓くのは私たち青年の使命です。5年後・10年後のこの社会が、今よりもっと笑い声の絶えない、素敵な笑顔で溢れた「明るい豊かな社会」になるように“絆”の輪を広め、未来へと続く道を私たちが創っていきましょう。

絆 ~広げよう未来を結ぶ絆の輪~

基本方針

1.「まちづくりはひとづくりから」 北九州の未来を担う人材を育成しよう
2. 市民一人ひとりのまちづくりへの当事者意識を高めよう
3. 子どもたちの郷土愛を醸成しよう
4. 民間を代表する外交官として、真の友情を深める国際交流を行おう
5.JAYCEEの絆の輪を広げよう
6.「明るい豊かな社会」を目指すための、柔軟かつ強い組織を作ろう