理事長所信
はじめに
私は、JCに入会した当初、「JCで何がしたいのか」という明確な答えをもっていませんでした。ただ単に、知り合いが増え仕事につながれば、という程度の目的しかありませんでした。そんな私は、例会や委員会への出席、そして事業に費やす時間も、「なぜそんなにやる必要があるのか」という疑念を持ち、先輩の熱意や活動ぶりを見ても、「なぜそこまで頑張るのか」という疑問を抱いていました。そして何より、JC活動によって帰宅が遅くなることを家族に理解してもらえない苦悩がありました。そのような、ただ目的もなくJC活動を続けている私に対して、ある時、紹介者である先輩が、「委員⾧をやってみないか?」と声をかけてくれました。その先輩の言葉は、「自分には無理だ」「自分ができるわけがない」と、いつも挑戦から避けていた私の背中を押してくれたように感じ、私はその役職を務めることにしました。
委員⾧という役職を担うことで、仲間との絆や、その仲間たちとともにひとつのことに挑戦する素晴らしさを感じることができ、次第にこのまちを想う心が生まれました。そのような中で事業をやり遂げたときの感動や喜びは今でも忘れません。その頃から「JCが好きだ」と感じるようになり、JC活動に対する向き合い方が大きく変わりました。
決して周囲の人たちから「あいつはできる」と思われていない私は、JCでの経験を通じて変わることができました。背中を押してくれた先輩がいて、変わるために「一歩」を踏み出す勇気さえあれば、人はどのようにだって変われることを知りました。
勇気をもてるから、人は挑戦することができます。そして、挑戦をすることで、失敗や成功を経て、それが自信へと繋がります。その自信が、自身の更なる挑戦や、周囲の人々に勇気を与えるものとなります。
だからこそ、私たちはJAYCEEとして、人々の背中を押し、勇気を与える存在でありたい。そのきっかけをもってその人が一歩を踏み出すことで人生を変え、前向きな力を生み出し、そしてその人がその先にいる人々に勇気を与える存在になる。その結果、このまち全体が明るい未来に向けて大きな一歩を踏み出し前進することを、私は確信しています。
まずは私たちが、私たちの強い意志をもって、「一歩」前へ進んでいきましょう。そして、目の前にいる人の「一歩」が踏み出せるように、その背中を押せる存在になりましょう。
魅力的なまちに暮らすために!活気あるまちづくりを!
このまちがこれからさらに活力を高め、発展していくために必要不可欠なのが、このまちの未来を生きる今の若者世代の活躍の場です。
しかし残念なことに、北九州市は若者世代の人口流出が喫緊きっきんの課題となっており、その結果、地域全体の活力や経済成⾧にも悪影響を及ぼしているのが現状です。
私は、この問題を解決するためには、「このまちだからこそ」何事に対しても果敢に挑戦することができるという可能性を感じられ、それによってこのまちに愛着を持つ機会が重要であると考えています。若者が自身の才能を活かし、社会に貢献できるための機会を創出し、彼らがこのまちで成⾧し続けられ、尚且つ挑戦できるような環境を整える必要があります。
私たちはこれまで、地域の企業と若者をつなぐ事業「域活!」などを実施した経験もあり、地域と若者のコミュニティづくりなどを運動として展開してまいりました。本年はその経験を踏まえ、若者・企業を巻き込み、新たな事業を展開してまいります。
地域社会と若者世代がともに成⾧し続けられるまちづくり事業を推進することで、若者が誇りを持ってこのまちに住まい、それによって地域がこれまで以上に発展することを、私は確信しています。
未来を見据え進化するリーダーの発掘と育成!
私たちの組織としての力は、メンバーの数と能力に大きな影響を受けます。このまちには、まだ私たちが出会っていない、まちのリーダーとなる可能性を秘めている人々がまだまだ存在しています。そのような人々に積極的にアプローチし、JCについて理解してもらい、仲間となって、研修を通じてJCの理念や活動に共感してもらうことが重要です。
本年、北九州JCでは、会員拡大系委員会が担う「入口」と、新入会担当系委員会が担う「出口」を同部門にすることで、入会から研修までを一貫する仕組みを設けます。それにより、担当委員会メンバーと新入会者がより身近な存在となり、メンター・メンティの要素によってフォローアップの充実を図ることができ、退会者防止や、一人ひとりへのJC活動に対してケアすることができると考えます。
入会したメンバーには、新入会者としてJAYCEEになるために研修をおこなっていただくほかに、「わっしょい百万夏まつり」の運営と、「到津の森公園支援事業」に参画してもらい、未来のリーダーになるための教育を実践してまいります。これらの「レガシー事業」からJCを学び、自ら考え、議論し、能動的な行動をおこすことが、未来を切り拓くリーダーとしての成⾧に繋がると確信しています。
能力と品性の両面で優れた候補者を見つけ出す会員拡大活動から、その能力をさらに引き出すための研修期間を一貫して担うことで、意欲的で責任感のあるメンバーになるための成⾧を支援するとともに、何事にも挑戦する勇気をもち、「一歩」前へ踏み出せるメンバー育成に、挑戦してまいります。
未来を担う子どもに可能性を!
昨年、70周年記念事業として実施した「北九州キッズチャレンジパーク」は、7,000名を超える保護者や子どもたちに来場していただき、本事業のテーマであった「自己肯定感を高める」ための良い機会となりました。この事業が市民に大きな反響を呼んだ結果は、LOMメンバーにとって大きな誇りとなりました。本年はこの「北九州キッズチャレンジパーク」をさらに進化させる年にしたいと考えています。
昨年は大盛況に終えることができた反面、その目標を上回る来場者数によって、一人ひとりに与える効果が薄れてしまったのが、アンケート結果により反省点として挙げられました。一方で、「子どもの自己肯定感の向上を感じることができた」という旨のアンケート結果も多数あり、事業のテーマがこの時代に則したものであったことも認識できました。
2年目となる本事業は、昨年の事業テーマであった「自己肯定感の向上」をさらに充実させ、果敢に挑戦することで、より来場者一人ひとりに効果を感じてもらえる事業構築を目指します。
子どもたちが自己肯定感を高め、自身に限りない可能性を見出すことと、そして彼らの背中を押してあげることで、未来への自信を持ち、自ら「一歩」を踏み出して目標を達成するための力を養う機会を創出します。
国境を越えて広がる友情と相互理解!
北九州JCは、台湾の台北市國際青年商會(以下、JCI台北)、大韓民国の仁川富平青年会議所(以下、JCI仁川富平)、スリランカのJCIウェラワッタ、さらには、モンゴルのJCIインパクトと姉妹関係にあり、これまでに、それぞれのLOMと国家主権を超えた友情を育んできました。
2023年度は、新型コロナウイルスによる水際対策も緩和され、姉妹LOMとの直接的な交流をおこなうことに成功しました。直接交流することで、文化や習慣を理解し、新しい視野を開く素晴らしい機会となりました。言葉や表情を通じて意思疎通し、異なる考え方や価値観に触れ、自分自身を成⾧させることができるこの機会を、今後も継続していく必要があります。
わたしは、国際事業において何よりも重要なことは「人と人、心と心、そして未来への架け橋」であると考えます。
本年は、それぞれの「架け橋」をより強固なものにし、これまで先輩方が紡いでこられた姉妹JCとの友情をさらに発展させてまいります。
新型コロナウイルスによるパンデミックによって、少なからず、メンバーの国際感覚は薄れてしまいました。本年は、昨年の直接交流を弾みとし、より相互理解をアップデートさせ、メンバーの国際感覚を醸成し、「恒久的世界平和の実現」に寄与することを目指していきます。
全メンバーが一体感を持てる、厳粛さと学びのある例会!
私たちがJAYCEEとして市民変革運動を進めるためには、行動する力のほかに、学びを深め、方針を共有する厳粛な場が必要です。
例会は、私たちメンバーが一同に集う唯一の貴重な場です。私は、毎月おこなう例会が、参画したメンバーにとってどの事業よりも「JCをやっている」と感じることができる場にしたいと考えます。研ぎ澄まされたセレモニーの実施や、さまざまな学びの時間、そして厳粛な空気感こそ、他団体では体験できない、「JCの例会らしさ」があると考えています。
そのためには、例会実施を担当する委員会が本気になって事業構築し、「JCの例会らしさ」を十分に理解した上で、厳粛さと学びの時間を全メンバー提供する必要があります。
毎月の例会において、JCを感じ、学べる場となることで、メンバーにはリーダーとして必要不可欠な成⾧の機会を提供してまいります。
「人」を通じてJCを発信!
私たちの活動は市民の参加や支援はもとより、私たちの「人となり」を発信し、組織にではなく、そこに所属する「人」に対して共感を得ることが重要です。しかし、社会課題と向き合う団体である私たちは、その内部的な「素顔」よりも、事業活動などを発信することが多く、行政や関係団体にこそ情報は届いたとしても、満足に市民に行き届き、共感が得られている現状ではないのが課題となっています。
そこで、本年はこれまで以上に、より内部的な組織の「素顔」を表現し、「人」に共感してもらえる広報をおこなうことで、さらに市民に親近感を抱いてもらえる広報戦略を実践します。「団体」ではなく「人」を全面に押し出すことで、これまで団体として不明瞭な部分であった「どのような団体か」に対し、興味を持ってもらうことができると期待しています。
「人」を通じてより多くの市民に私たちの活動に関心を持ってもらうきっかけをつくることで、私たちの取り組みや事業に共感を呼び、ひとりでも多くのファンをつくることを目指します。
最後に
このまちの未来に向けて、これから皆さんはどのような「一歩」を踏み出しますか? 私は、皆さんと一緒なら、どんな「一歩」も踏み出せます。
私たちはJAYCEEとして、人々の背中を押し、勇気を与える存在です。そしてその勇気が、前向きな力を生み出し、このまち全体が明るい未来に向けて大きな一歩を踏み出し前進することを、私は確信しています。
私たちはひとりじゃない。メンバー全員が一丸となって、明るい豊かな社会の実現に向けて、このまちの変革に、勇気をもって挑みましょう。
私たちは、このまちの未来のために、これから全員でその「一歩」を踏み出します。共に勇気をもち、挑戦していくことで、素晴らしい未来を築いていきましょう。
一般社団法人 北九州青年会議所
第72代理事長 後藤 浩太
2024年度運動方針
- 魅力的なまちに暮らすために!活気あるまちづくりを創造しよう。
- 未来を見据え進化するリーダーの発掘と育成を創出しよう。
- 未来を担う子どもに可能性を創出しよう。
- 国境を越えて広がる友情と相互理解を推進しよう。